場面が楽屋という設定なので、お稽古という事で弾く三味線は爪弾きか木撥でという演出の指示がありました。
爪弾きでも構わないのですが、舞台で生で弾くため大きな音が出せないので、木撥で弾かせて頂いております。
ここで使っておりますのが、私が8歳で初めて三味線のお稽古を始めた時に師匠より頂いた稽古用の木撥です。
なので、撥の底面には私の本名「福井浩二」の福の字が書かれております。
稽古用の木撥は新品だと白い木目なのですが、この撥は入門した際にお古を下げ渡して頂いた物で、私が幼少時代毎日のように手にして稽古しておりました。三十数年経った今はとても良い色合になっております。
本来、舞台上で三味線の演奏をする時は、象牙や鼈甲の撥を使用しますので稽古用の木撥がお客様の目に触れる事などありませんが、図らずも今回は稽古風景という設定なので、わざわざ汚しを掛けて古めかしく装う必要がなく、取って置きの小道具となりました。